大阪文化賞

2007年度(平成19年) 大阪文化賞受賞者

中村桂子(なかむら けいこ)
中村桂子
  • 昭和11年生まれ
  • 分野
    生命科学
  • 受賞理由
    永年にわたり生命科学の最先端研究を行いながら、機械論に基づく生命科学では、生命の理解は難しいだけでなく、そこから生まれる技術は人間が生きものとして生きることと矛盾するのではないかという疑問を抱き、生命体を38億年前に誕生した一つの細胞を祖先とし、連綿と続いてきた歴史的存在として捉えてその歴史物語を読み解く「生命誌(Biohistory)」という新分野を提唱し、構築されています。「生命誌」は、音楽のコンサートホールのように専門家と専門外の人が一緒に生命について考える場「研究館(Research Hall)」で行いたいという熱意から「JT生命誌研究館」の設立に向けて、多大な尽力をされました。
    同館では、地球上に暮らす生きものが共通性を持ちながら多様であることに注目し、それは祖先を一つにする仲間が長い「時間」の中で多様化してきたという「関係」を持つからであり、時間が紡ぐ物語の中に自分を置くことが大切であると考え、そのために、研究し、語らい、考えるというさまざまな取り組みが行われています。その活動は、科学という学問的価値だけでなく、人間に「生きている」という実感を与え、そこからいかに「生きるか」が重要であると、人生観に迫るテーマを追求するものになっています。
    さらに、平成14年、同館館長に就任されて以来、「人間ってなに?」から「愛づる(めづる)」「語る」「観る」「関わる」「生る(なる)」と年間テーマを設定し、展示やホームページや季刊誌にも工夫を凝らし、わかりやすい館の運営に尽力されています。
    このような生命誌を軸に置いた幅広い研究活動とともに、中央教育審議会委員、大阪大学連携大学院教授等の要職を務めるなど、中村氏の活躍は大阪の学術と文化の振興に広く貢献するものです。

2007年度(平成19年) 大阪芸術賞受賞者

十五代目 片岡仁左衛門(かたおか にざえもん)
片岡仁左衛門
  • 昭和19年生まれ
  • 分野
    歌舞伎
  • 受賞理由
    13代目片岡仁左衛門の三男として大阪で出生され、昭和24年、中座での「夏祭浪花艦」の市松役で初舞台を踏んで以来、父が旗揚げした「仁左衛門歌舞伎」で研鑽を積むともに、兄である片岡我當、片岡秀太郎と古典歌舞伎の研究会「若松会」を結成するなど、自らの芸を深め高めることに邁進されています。
    昭和39年、近松門左衛門の「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」の与兵衛を演じ、高い評価を得られました。その後、坂東玉三郎丈と「孝玉コンビ」で人気を得、昭和61年には、パリ公演も成功を収められました。また、「ハムレット」など現代劇やテレビ出演も数多く、役者としての演技の幅を広げられています。
    平成7年、父の当たり役「菅原伝授手習鑑」の菅丞相(菅原道真)を演じて好評を博すなど、爽やかな芸風と口跡に加え、役柄への深い理解で、幅広い年齢層から支持を受けています。
    平成10年には15代目片岡仁左衛門を襲名、平成18年には日本芸術院会員に選ばれるなど、歌舞伎界にとって、なくてはならない存在となっています。また、同氏の当たり役である「女殺油地獄」等の上方歌舞伎を若手に指導するなど、後進の育成にも熱心で、このような同氏の活躍は、大阪の芸術の振興に大きく貢献するものです。

2007年度(平成19年) 大阪芸術賞特別賞受賞者

小栗まち絵(おぐり まちえ)
小栗まち絵
  • 昭和23年生まれ
  • 分野
    洋楽
  • 受賞理由
    東儀祐二、江藤俊哉、斎藤秀雄、の各氏に師事し、桐朋学園高校音楽科、桐朋学園大学を卒業後、同大学助手を務められました。
    昭和48年から50年、ジョセフ・ギンゴールド、フランコ・グリ両氏に師事されました。同49年インターナショナル弦楽四重奏団を結成、51年エヴァン国際室内楽コンクール第1位大賞を受賞し、その後は、欧米を中心に活躍されました。
    また、昭和51年から55年までインディアナ大学助教授、55年から61年までブラウン大学アーティスト・イン・レジデンス、61年帰国し、相愛大学助教授、同大学教授を務め、門下生から、大阪フィルハーモニー首席コンサートマスターの長原幸太、ヴァイオリニストの大谷玲子、梁美沙、中島慎子など大阪にゆかりのある多数の優秀な音楽家を輩出しており、指導者としても高い評価を得ておられます。
    また、平成6年、大阪出身の音楽家貴志康一のヴァイオリン曲「竹取物語」のCDリリースや、8年から9年イシハラ・バッハ・シリーズにて、「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ及びヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」全曲を演奏、また、14年から15年「ベートーヴェン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ全曲チクルス」、15年から18年いずみシンフォニエッタ大阪のコンサートミストレスとして活躍し、16年エクソンモービル音楽賞洋楽部門本賞を受賞するなど、活躍を続けておられます。
    このような小栗氏の演奏家として、また卓越した指導者としての活躍は、大阪の芸術振興に大きく貢献するものです。

2007年度(平成19年) 大阪文化発信賞受賞者

藤山直美(ふじやま なおみ)
藤山直美
  • 昭和33年生まれ
  • 分野
    演劇
  • 受賞理由
    昭和37年、父である藤山寛美とテレビで初共演し、5歳でミュージカル「見上げてごらん夜の星を」で初舞台を踏まれ、天才子役として活躍されました。
    以後、主に舞台を中心に活躍され、藤山寛美十三回忌追善公演「夢噺 桂春団治」、「浅草パラダイス」等数多く、さらに、「泣いたらあかん」、大阪出身の作家 織田作之助の代表作「夫婦善哉」、「妻をめとらば~晶子と鉄幹~」等、現在も関西色の強い舞台を公演されています。また、21世紀歌舞伎組と共演した、「スーパー喜劇 狸御殿 」では、歌舞伎と喜劇のコラボレーションによる新しい舞台を創造されました。
    また、テレビでもその存在感をいかんなく発揮し、昭和59年NHKテレビ小説「心はいつもラムネ色」、同63年「純ちゃんの応援歌」に出演、平成3年「おんなは度胸」では名脇役ぶりで、その名を全国区におしあげました。
    さらに同12年初の主演映画「顔」では、主人公の微妙な心理描写を見事に好演し、キネマ旬報主演女優賞、報知映画賞優秀主演女優賞及び毎日映画コンクール女優主演賞を受賞されました。
    同18年のNHKテレビ小説「芋たこなんきん」でヒロインを演じた藤山氏は、陽気で情熱的でありながら、実は繊細で人情の機微を捉えることが巧みな大阪の女性を見事に描き出し、まさに円熟した演技であり、また、音節や表現が美しい、たおやかな関西弁を使うなど、大阪の文化を幅広く発信するものです。

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